<事例から学ぶ>開発担当者が習得すべきクリティカルシンキングの習得とチェックリストからの脱却セミナー

2025/8/31

・ICH E6(R3)およびQbD・CTQの思考フレームの理解
・チェックリスト思考の限界とリスク、チェックリストに頼らない「設計的」
 アプローチを習得

なぜ今、製薬会社にクリティカルシンキングが必要なのか?

製薬業界では、高血圧や糖尿病といった「ブロックバスター」領域の薬剤が出揃い、今や新薬の開発対象は希少疾患や難治性疾患、個別化医療へと移行しています。その難易度は飛躍的に上がり、ひとつの薬の開発には10年以上、数千億円規模の投資が必要です。しかも成功確率は0.01%以下とも言われています。

さらにICH E6(R3)に代表される国際規制は、「手順重視」から「目的志向・リスクベース型」へと進化し、従来の「決められた手順を守ればよい」という発想では通用しなくなっています。つまり、今の製薬会社には、状況に応じて前提を疑い、問いを立て、本質を見極めて判断する力―まさに「クリティカルシンキング」が不可欠なのです。

セミナー概要

今回のセミナーは「<事例から学ぶ>開発担当者が習得すべきクリティカルシンキングの習得とチェックリストからの脱却」をテーマに開催しました。対象は製薬会社で開発に携わる方々、特に新人から指導的立場まで幅広く想定しています。

セミナーの目的は、チェックリストに従う「作業者」から、状況に応じて判断する「考える実務者」へと脱皮すること。そのために、ICH E6(R3)やQbD(Quality by Design)に基づく思考フレームを理解し、チェックリスト思考の限界を超える実践的アプローチを体得することを狙いとしました。

プログラム内容

  • クリティカルシンキングとは何か
    ロジカルシンキング(筋道を立てて説明する力)との違いを整理しつつ、物事を建設的に疑い、多角的に検討する姿勢を強調しました。
  • ICH E6(R3)の求める発想
    手順重視から目的志向へ。臨床試験の科学的妥当性・倫理性を担保するためには、思考力を伴った品質保証が必要である点を解説しました。
  • チェックリスト思考の限界
    「言われたことだけを実行する」ことのリスクを具体例とともに提示。チェックリストは便利ですが、網羅性に頼りすぎると本質的なリスクを見落とす危険があります。

現場での具体的事例演習

  • ・毒性試験結果を報告すべきか否か
  • ・添付文書とTPPを「生きた文書」にするには
  • ・QbDがなぜチームの課題にならないのか
  • ・対立構造を作らない議論の方法
  • ・臨床試験における「中等症」の位置付け
  • ・承認困難なプロジェクトを中止できない背景

これら6つの課題を題材に、参加者同士で実際に考え、ディスカッションを行いました。

学びと気づき

  • 演習を通じて明らかになったのは、
  • ・「報告のタイミング」一つとっても、事実・解釈・仮説を分けて整理する必要があること
  • ・添付文書やTPPは「作ることが目的化」しがちだが、本来は意思決定を支える「生きた文書」であるべきこと
  • ・損失回避やサンクコストなど、無意識のバイアスが意思決定を誤らせること

  などでした。これらは日常の業務で見落としがちな落とし穴ですが、クリティカルシンキングを習慣化することで
  避けられると実感いただけました。

参加者の声(アンケート結果より)

  • 「具体的な事例演習があり、現場での意思決定に直結する内容だった」
  • 「普段何気なく行っている判断に、いかにバイアスが潜んでいるか気づかされた」
  • 「ロジカルシンキングとの違いが明確になり、両者をどう使い分ければよいか理解できた」
  • 「チェックリストでは見落とすリスクを実感し、今後の仕事で意識したい」

おわりに

今回のセミナーを通じ、参加者の多くが「思考停止から脱却する必要性」を実感されました。製薬会社においては、単に規制や手順を守るだけでなく、状況に応じて自ら問いを立て、チームを動かす力が求められています。

クリティカルシンキングは一朝一夕で身につくものではありません。しかし、日々の業務の中で「そもそも?」「なぜ?」「本当か?」「他にないか?」と問いかけ続けることで、その力は確実に養われます。

膳Laboつくばでは、今後もこうした実務に直結するセミナーを継続してまいります。ぜひ一度、現場で役立つ思考力を体感してみては如何ですか。

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