新薬開発とはかつては「千三つ」と言われたように、1,000個の化合物を開発し、そのうちの3つだけが世の中で使われるようになるというほど、成功確率が低いビジネスだ。(今ではさらに難易度が上がっている)
新薬開発PLは国内に限らずグローバルにおよび、海外メンバーとのやり取りでは、様々な刺激を受けてきた。
プロジェクト承認取得困難状況になった際、日本人チームでは「中止」の方向で合意する状況である一方、海外チームでは盛んに「チャレンジ」という言葉を口にしていた。
ほぼ無駄で徒労に終わると思うようなことでも、決してできないとは言わない海外チームに対して、
「何をこのクソ忙しい時期に、『チャレンジ』という能天気なことを言っているのだ」と思ったものだったが、
彼らのチャレンジとは無鉄砲に「挑戦する」という意味ではなく、あえてポジティブに「困難に立ち向かう」という意味でチャレンジと口にしていることが、後に理解することになる。
ちなみに「チャレンジ」とは、解決したり、獲得することが困難だと感じることを意味する。
“Challenge: something difficult that you feel determined to solve or achieve.”(英英辞典)
海外のメンバーと意思疎通が出来ていないと感じた際は、言葉のニュアンスの違いが原因ではないかと考えるようになると同時に、日本人と海外の人との立ち位置の違いに気づくようになった。
また海外チームメンバーは、可能性がゼロでない限り、決して「出来ない」とは言わない。最後まで可能性にかける。一方の日本チームはリスクを最小限にすることに注力する傾向があると感じた。